[新刊・話題書]黙示録 岡田 温司 岩波新書
これはとても面白い一冊だ。
黙示録は「ヨハネの黙示録」に代表されるように、この世の終わりを示したものだが、その詳しい内容を知っている人はそうは多くないのではないか。
第一章でその概要が紹介される。その内容はおどろおどろしく、いかにも終末の不気味さを醸し出すようだ。自分たちの世代ではなじみ深い「ノストラダムスの大予言」を思い起こさせるようなものだ(正確には逆の見方なのだろうが・・・)。
そして、黙示録にさらに興味をもたせるかのように、その中で頻出する数字がある。「7」だ。それらがどのように使われているかなどについて示しながら、黙示録のもつ不気味さをさらに高めている。
第二章で他の黙示文学も紹介されるが、基本的にその構造が変わらないことがわかる。つまり、アンチ救世主的な存在が出現して世を惑わし(ヨハネ黙示録ではアンチキリスト)、そのご救世主が登場して終末を迎えるというもの。実はこの構造が、その後の西洋の考え方に大きな影響を及ぼしているのではないか。といったことが、その後で触れられる。
個人的には、以下の二点を興味深く感じた。
一つ目は、「ラベリング」の威力だ。宗教改革のころから顕著になるが、敵をつぶそうとするなら、自分たちの正統性を主張するよりも、敵が「アンチキリスト」であると言ってしまえばよい。この論法は簡単ながらとても強力で、宗教がらみならだれにでも使えてしまう。それが高じると「ラベリング」の世界に行き着く。とにかく相手を何らかのイメージでラベリングしてしまえばよい。黙示録のアンチキリストは、ラベリングの威力を十分発揮した例なのではないだろうか。
もう一つは「情報」のもつ怖さだ。岡田温司氏の著作なので、当然芸術作品は多数紹介される。その中で見られるアンチキリストなどは、常識的に見れば現実にはありえないレベルのものだ。それが大衆に共感される、というのはそれだけ情報が流通していなかったから、容易にその絵を信じてしまうためだろう。現代でも、冷静に考えればありえない情報が独り歩きして、それが大きな影響を及ぼすことがある。この原型を黙示録に見ることができる。
最後の第六章は映画で黙示録がどのように反映されているかが紹介されている。その最後に「黙示録」と言えばこれでしょ、という映画が紹介される。「地獄の黙示録」だ。本書を読むと、この映画が単なるコンラッドの「闇の奥」の現代版焼き直しではなく、しっかりと「黙示録」が反映されたものだということがわかる。ということは、コンラッドの「闇の奥」もどこかで黙示録とつながっているのかもしれない。
その他、今少し話題になっているダンテ「神曲」と黙示録とのつながりなど、とても興味深い内容がてんこ盛りの一冊であった。
黙示録は「ヨハネの黙示録」に代表されるように、この世の終わりを示したものだが、その詳しい内容を知っている人はそうは多くないのではないか。
第一章でその概要が紹介される。その内容はおどろおどろしく、いかにも終末の不気味さを醸し出すようだ。自分たちの世代ではなじみ深い「ノストラダムスの大予言」を思い起こさせるようなものだ(正確には逆の見方なのだろうが・・・)。
そして、黙示録にさらに興味をもたせるかのように、その中で頻出する数字がある。「7」だ。それらがどのように使われているかなどについて示しながら、黙示録のもつ不気味さをさらに高めている。
第二章で他の黙示文学も紹介されるが、基本的にその構造が変わらないことがわかる。つまり、アンチ救世主的な存在が出現して世を惑わし(ヨハネ黙示録ではアンチキリスト)、そのご救世主が登場して終末を迎えるというもの。実はこの構造が、その後の西洋の考え方に大きな影響を及ぼしているのではないか。といったことが、その後で触れられる。
個人的には、以下の二点を興味深く感じた。
一つ目は、「ラベリング」の威力だ。宗教改革のころから顕著になるが、敵をつぶそうとするなら、自分たちの正統性を主張するよりも、敵が「アンチキリスト」であると言ってしまえばよい。この論法は簡単ながらとても強力で、宗教がらみならだれにでも使えてしまう。それが高じると「ラベリング」の世界に行き着く。とにかく相手を何らかのイメージでラベリングしてしまえばよい。黙示録のアンチキリストは、ラベリングの威力を十分発揮した例なのではないだろうか。
もう一つは「情報」のもつ怖さだ。岡田温司氏の著作なので、当然芸術作品は多数紹介される。その中で見られるアンチキリストなどは、常識的に見れば現実にはありえないレベルのものだ。それが大衆に共感される、というのはそれだけ情報が流通していなかったから、容易にその絵を信じてしまうためだろう。現代でも、冷静に考えればありえない情報が独り歩きして、それが大きな影響を及ぼすことがある。この原型を黙示録に見ることができる。
最後の第六章は映画で黙示録がどのように反映されているかが紹介されている。その最後に「黙示録」と言えばこれでしょ、という映画が紹介される。「地獄の黙示録」だ。本書を読むと、この映画が単なるコンラッドの「闇の奥」の現代版焼き直しではなく、しっかりと「黙示録」が反映されたものだということがわかる。ということは、コンラッドの「闇の奥」もどこかで黙示録とつながっているのかもしれない。
その他、今少し話題になっているダンテ「神曲」と黙示録とのつながりなど、とても興味深い内容がてんこ盛りの一冊であった。
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